第1回大会「好きなアニメ映画」佳作① めけめけ様

「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」

めけめけ

 

純粋に真っ直ぐな気持ちで観ていられる映画だった。
子供向けの映画と軽い気持ちで鑑賞した私は、最後にどうしても涙を堪えきれなかった。

ストーリーはとてもシンプルだ。
部屋のすみっこが好きなちょっと変わったキャラクター『すみっコ』達は行きつけの喫茶店でとびだす仕掛けの絵本を発見する。絵本には桃太郎に赤ずきんアラビアンナイト、世界の有名な物語が詰まっていた。 

突然仕掛けが勝手に動き出し、すみっコ達は絵本の中に吸い込まれてしまう。たどり着いた先で出会ったのは、自分が誰なのかさえわからないひとりぼっちのひよこだった。
そしてすみっコ達は、ひよこの家を一緒に探し始める。

子供向けの映画なら割とよくありそうな、冒険と友情の物語だと思っていた。
それでもこの作品を人に薦めたいと思ったのは、ひとりぼっちのひよこにある。

ひよこには自分の居場所がない。自分が誰かもわかっていない。きっとすみっコ達が来るまではずっと不安と孤独に襲われていたことだろう。自分の立ち位置がわからないというのは不安と恐怖を感じることだ。

誰だってこの『ひとりぼっちのひよこ』になり得る。もしくはもうひとりぼっちのひよこになっている人もいるかもしれない。自分の居場所がわからない、周りに心許せる友人がいない、そんな風に孤独だと感じる人は少なくはないと思う。
すみっコ達はそんなひよこに居場所をくれる。一緒においでと、友達だと言ってくれる。

スクリーンの向こうから「君は一人じゃない」と言われた気がした。私にはすみっコ達がひとりぼっちのひよこ達にそう言っているような気がしたのだ。気がつけば涙が溢れていた。

稚拙な文章で全てを伝えられないのが残念だが、もし少しでも貴方の興味を引いたならぜひこの映画を鑑賞してみて欲しい。
貴方も何かメッセージを受け取るかもしれない。