第1回大会「好きなアニメ映画」佳作② 四葉様

さよならの朝に約束の花をかざろう

四葉

 僕はこれ以上に「感動した」という言葉が似合う作品を知らない。

 好きなアニメ映画と言われてパッと頭に浮かんだのがこの「さよ朝」だった。この作品は10代半ばの見た目のまま数百年の時を生きるイオルフの少女マキアが親を亡くした赤ん坊エリアルと共に成長していく物語だ。

 最大の特徴は、この2人の成長を描くことに特化されていることだ。

 さよ朝は時間経過が非常に早く、場面が変わると5年や10年時が経っている。姿は変わらずとも母親として成長していくマキアと、姿も中身も成長していくエリアル、その2人の関係の変化を各シーンごとに感じられる。

 中世ファンタジーの世界観らしく、竜が存在していたり、戦争が起こったりするのだがそれらは物語のアクセントでしかない。あくまで物語の中心はマキアとエリアルの成長なのだ。

 長命の種族であるマキアと人間のエリアルの成長を描いているのだから当然のように寿命の差の話は出てくる。クライマックスではマキアがエリアルを看取ることになる。掻い摘んでではあるが丁寧に、着実に描かれた2人の成長を観てきたからこそクライマックスのシーンではもうどうしようもなく涙が溢れてくる。社会人6年目にもなる成人男性が何度観てもボロボロになってしまうのだ。あんなのズルい。

 115分という人生からしたらほんの少しの時間でエリアルの一生を観るのは、ある種マキアと同じような感覚になれるのだと僕は思う。だからこそ号泣してしまうし、日々の出会いを、別れを、大切にしようとも思えるのだ。